東京高等裁判所 昭和24年(新を)1132号 判決 1950年4月26日
被告人
稻原清
主文
本件控訴は之を棄却する。
理由
弁護人会田惣七の控訴趣意第二点について。
原判示によると第一の窃盗事実の被害額は約八百円であり第二の窃盗事実のそれは約千三百円である。従つて原判決は第二事実を以て第一事実よりも犯情が重い旨を判示したものと解することができる。而して原判決は法律の適用において併合罪の加重をするに当り刑法第四十七条と第十条とを列挙し判示二個の窃盗事実中孰れが重いかを明示してはいないけれども前述犯罪事実の判示からみて第二事実を以て当然重いと認め、その旨は特に明示しないけれどもその罪に対する刑を法定加重の基準としたものと解することができる。何となれば擬律も亦判決理由の一部であり之をその事実理由と綜合してその真意を推断して差支ないからである。果して然らば原判決は結局併合罪の加重の基準刑を示したこととなり所論の理由不備を蔵しない。論旨は理由がない。